シーリング工事

シーリングとは?シーリング工事の目的

シーリングとは、外壁の継ぎ目や窓サッシ周りなどの建物に生じる隙間を埋めるために施工されるゴム状の部材です。伸縮性に優れており、コーキングと呼ばれることもあります。

シーリング工事を行う目的は、主に次に2つです。

雨水の浸入を防ぐ

まず一つ目の目的は、雨水の浸入を阻止して雨漏りの発生を防ぐことです。建物の構造上、どうしても建材同士の接合部に隙間ができてしまうため、そこにシーリングを充填することで隙間から雨水が入り込むのを防げます。

雨漏りはシロアリやカビの発生、建材の腐食などの被害を及ぼし、最悪の場合は耐震性の低下や漏電・火災といった事故に繋がる危険性があります。

さらに、室内への漏水によって家財やパソコン、重要書類などが濡れてしまうと、入居者にも大きな損失を与えることになるので注意が必要です。

地震や台風による揺れで建材が破損するのを防ぐ

シーリングには、地震や台風による揺れで建材が破損するのを防ぐ役割もあります。

もしシーリングが充填されていないと、地震などの揺れが発生したときに建材同士がぶつかり合って破損する可能性があります。

そこで伸縮性のあるシーリングを建材同士の間に施工することにより、シーリングがクッションのような働きをして、建材がぶつかり合って破損するのを防止できます。

シーリング工事を行う時期

シーリング工事を行う時期は、使用している製品によって異なります。

早ければ5年程で劣化することもあり、長くても10~15年程でシーリング工事が必要となります。

シーリングにひび割れや剥がれ、痩せといった劣化症状が発生している場合は、劣化によって生じた隙間から雨水が浸入する可能性があるため、これらの症状はみられるときは早めにメンテナンスするようにしましょう。

シーリング工事の種類

シーリング工事の方法は「打ち替え」と「打ち増し」の2種類あります。

打ち替え

打ち替えとは、古くなったシーリングを全て撤去してから新たにシーリングを施工する方法で、基本的にシーリングの劣化が激しい場合や雨漏りしているときに行います。

シーリングを全てを新しいものに交換するため、シーリング本来の機能を十分に発揮することが可能です。また、劣化しているシーリングは残さない方法なので、雨漏りが再発するリスクも少なくなります。

打ち替えの単価は1mあたり800円~1,500円が相場です。打ち増しと比べると費用は高めですが、打ち替えのほうがシーリングが長持ちするメリットがあります。

打ち増し

打ち増しとは、古くなったシーリングを撤去せずに、その上から新しいシーリングを施工する方法です。シーリングの劣化が軽度な場合に行うことが多く、費用を抑えてシーリングを新しくできます。

打ち増しの単価は1mあたり500円~1,000円が相場です。

シーリング材の種類

シーリング材には次のような種類があり、施工場所に適したものを使用します。

シリコン系

シリコン系シーリング材は、耐熱性・耐候性・耐水性のが特徴です。また、価格も比較的安い傾向にあります。

一般的には、ガラス周りやキッチン、浴室などの水回りに用いられます。

外壁の目地などに使用する際の注意点として、シーリングの施工後は上から塗装はできません。シリコンオイルという成分によって塗料を弾いてしまうからです。さらに、周囲が汚れやすいという欠点もあります。

変成シリコン系

変成シリコン系は、耐候性や柔軟性に優れているシーリング材です。外壁の目地や窓周りなどあらゆる場所に使用されており、動きが大きい建物にも適しています。

また、シーリング施工後に上から塗装することも可能です。ただ、密着性はやや劣るといった点がデメリットとして挙げられます。

ウレタン系

ウレタン系シーリング材は、耐久性や密着性に優れているのが特徴で、外壁の目地やひび割れ補修で使用されるケースが多いシーリング材です。

ただ紫外線に弱く、ホコリなどが付着しやすいデメリットもあるため、シーリング施工後は上から塗装をして保護する必要があります。

ポリサルファイド系

ポリサルファイド系は、耐久性や耐候性が高く、汚れが付着しにくい特徴を持っています。

主に、石材やタイルの目地に用いられます。ただし、柔軟性が低いため、動きの大きい建物には適していません。

アクリル系

アクリル系は価格が安いため、材料費を抑えることを目的に新築時の外壁目地に使用されることがあります。

しかし、耐久性や耐候性が低いので、塗り替え時に使うことはほとんどありません。

1液型と2液型の違い

シーリング材は「1液型」と「2液型」の2つに分類されます。

1液型の特徴

1液型は、製品を開けたらすぐに使えるタイプのシーリング材です。

扱いやすく、ホームセンターなどでも手に入るため、DIYで使われることが多いです。専門業者の場合は、施工範囲が狭いときや部分的な補修を行う際に使用します。

2液型の特徴

2液型とは、使用する前に主剤と硬化剤を混ぜ合わせるタイプのシーリング材です。

専用の機械を使ってしっかりと混ぜ合わせる必要があるので手間がかかり、素人には扱いにくい種類になります。また、撹拌不足があると施工不良が発生するため、専門業者による豊富な経験と知識を要します。

1液型に比べると価格が安く、使用する分だけシーリング材を作れる利点もあるので、2液型を採用する業者が多いです。

ブリード現象とは

ブリード現象とは、シーリング材に含まれている可塑剤が原因で起きる現象です。

可塑剤はシーリングに柔軟性を持たせるために加えられるもので、可塑剤がシーリング表面に滲み出てくると、大気中の汚れや排気ガスなどが付着して黒ずみが生じてしまいます。

ブリード現象は施工後1~2年程で発生するケースもあり、美観が低下するだけではなく、塗膜の耐久性が低下する可能性があります。

また、ブリード現象が起きている場合は、既存のシーリングを撤去して新しいシーリングに交換する補修方法しかありません。

ブリード現象を防ぐ対策としては、ノンブリードタイプと呼ばれるのシーリング材を使用したり、ブリード現象を抑えられる下塗りを塗装する方法があります。

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